ゼロから始める週末起業生活
とある起業・週末起業サポートツールのトリセツ小説
ゼロから始める週末起業生活

普通の事務OLだった私は就職先での毎日が退屈過ぎて週末起業で小さく自分のビジネスを始めてみることにしました。(2)

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気付けば、その場でコウヘイに電話を掛けていた。 深夜、突然の電話に最初は動揺していた様子だったけれど、私のアイデアを聞くなり、彼もどんどん乗り気になって「アプリ作れるやつ、探そう。商店街のそれぞれの店には俺から声かけてみる!」と、明るい声が返ってくる。

それから、仕事を終えるとすぐにコウヘイと集まり、様々なアイデアをぶつけ合った。 煮詰まれば、何かヒントはないかと SeekSeeds を覗き、そこにあるアイデアのかけらを自分たちのアイデアと掛け合わせてブラッシュアップを繰り返していく。

おおよそのサービスのイメージが決まった頃、幸いにもかつての同級生にシステムエンジニアとして働いている人がいるのが分かり、その人にもチームに加わってもらって、アプリは完成した。 アプリ以外の部分、たとえばそれを使ってもらう商店街側の調整はコウヘイが奔走してくれて、サービス開始時の配達も、彼が自分の仕事と並行してやることになった。

アプリをリリースし、後はもう、待つだけ。 初めての注文は近所に住む友達で、それに喜んでいると、じわじわと注文の数が増えていく。 数週間経った頃には、配達を一周ではなく二周に分けて行わなければならないほど、多くの注文が飛び込むようになった。

「最近、アプリからの注文での売上と、店先での売上が同じくらいになってきたんだよ。つまり、二倍くらい」 「えっ、すごいね」 「だろ? おまえが、こういうアプリがあったら便利じゃないかって企画して、人を集めて進めてくれたおかげだよ。ありがとな」 「いや……私は、何かしたかっただけで……」 「でも、こうやって形にしたっていうのがすげーんだって。こういうの、向いてるんじゃない?」

そう笑う彼の言葉に、私も思わず笑顔になった。 いろんなアイデアの種や困ったことから、アイデアを生み出して、それをサービスという形にして……。 それをおこなったここ数ヶ月は忙しかったけれど、疲れよりもずっと、充実感の方が大きい。 普段の事務の仕事ではつまらなくて疲れるばかりだったのに……こんなに晴れ晴れしい気持ちになれる疲れなら大歓迎だ。

このアプリを、他の商店街にも売り込んでみよう。 売れたら、それで新しい機能を開発して、もっと便利に、いろんな人に使ってもらいたい。 数が増えたら問い合わせに対応する人を増やしたりしないといけないかもしれないし……やることはたくさんだ。 でも、私の中から湧き上がってくるのはワクワクする気持ちだけ。 そうか。こういうワクワクすることを仕事にすることだって、できるんだ。

こういう仕事を始めようと思う、って、みんなに伝えよう。 そう思ってSNSを開くと、見慣れたアプリのスクリーンショットが目に飛び込んできた。 リツイートしたのはコウヘイだ。 その投稿をタップしてみる。

『うちの近くの商店街、まとめて配送してくれるサービス始まったんだけどめっちゃ便利! 野菜新鮮だし!』

そこに並ぶ言葉に、胸がどきどきした。 私でも、できるんだ。 仕事をしながらでも、こうして一歩踏み出してみれば、こうして人の悩みを解決するサービスを創り出すことができる。

『こういうの、向いてるんじゃない?』

彼の言葉を思い出す。 そうだ。一歩進んで、新しいことを始めてみること。 それができれば、きっといろんなワクワクに出会うことができる。

次は、何を始めよう。 次に待つワクワクに思いを馳せながら、私は走り出した。

この物語は 都宮ヨルさん に執筆していただきました。

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